則本昂大のメジャー挑戦はなぜ消えた?7年契約の真相と守護神の現在
かつてNPBで5年連続最多奪三振という圧倒的な記録を打ち立て、侍ジャパンの主力としても世界を相手に腕を振った東北楽天ゴールデンイーグルスの則本昂大。最速158キロの直球と鋭く落ちるフォークを武器に、一時は「最もメジャーに近い本格派右腕」として日米のメディアを騒がせました。
しかし、ファンが待ち望んだポスティングシステムによるメジャー挑戦や海外FA権の行使は実現せず、則本は楽天への残留を決断。その後、クローザーへと劇的な転向を果たしました。全盛期に海を渡る選択肢がありながら、なぜ彼は杜の都に留まり続けたのか。その決断の裏側にあった真実と、現在の立ち位置を徹底解明します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:米球団から高い評価を受けながらも、2019年の右肘手術と球団への強い愛着から7年の超大型契約を結び残留を選択。
- 要点2:MLBスカウトは奪三振能力を絶賛していた一方、球数過多による耐久性やリリーフ適性の見極めが焦点だった。
- 要点3:松井裕樹のメジャー移籍を契機に抑えへ転向しセーブ王を獲得、2026年の現在も楽天の絶対的守護神として君臨。
【メジャー移籍の真相】則本昂大はなぜ海を渡らなかったのか?ポスティング噂と断念の決定打
2010年代半ば、則本昂大のメジャー移籍は「時間の問題」と見られていました。2014年の日米野球でノーヒットノーランリレーの一角を担い、2017年のWBCでも力強い投球を披露したことで、ファンの間でもポスティングシステムを利用した早期挑戦が現実味を帯びていたからです。
しかし、その青写真が大きく変わったのが2019年シーズン開幕直前の右肘クリーニング手術でした。プロ入り以来、毎年200イニング近くを投げ続けてきた勤続疲労がピークに達し、キャリア初の長期離脱を余儀なくされます。故障のリスクと自身のキャリアを冷静に見つめ直すなかで、楽天球団から提示されたのが異例の長期契約でした。
「このチームでもう一度優勝したい」「苦しい時期に支えてくれた球団に恩返しがしたい」という強い信念が、メジャー挑戦への憧れを上回りました。米球界への挑戦という夢を封印し、則本昂大がメジャー断念を決めた最大の理由は、肉体的な転換点と球団との揺るぎない信頼関係にあったといえます。
【米スカウトの評価】MLB球団が熱視線を送った「奪三振マシン」の武器と懸念材料
メジャーリーグのスカウト陣は、則本の投球スタイルをどのように分析していたのでしょうか。当時、パ・リーグを席巻していた奪三振能力に対し、複数のMLB球団が高水準のスカウティングレポートを作成していました。
特に評価が高かったポイントは以下の3点です。
- 力強いノビのあるストレート:回転数が高く、高めのゾーンで空振りを量産できる点。
- ウイニングショットの切れ味:鋭く沈むフォークボールとスライダーのコンビネーション。
- 闘争心溢れるマウンド度胸:ピンチでもギアを上げてねじ伏せる強靭なメンタリティ。
一方で、MLBスカウト評価における懸念材料として挙げられていたのが「球数過多と投球フォームの身体的負荷」でした。メジャーでは先発投手の故障リスク管理が徹底されており、NPB特有の完投志向による勤続疲労が懸念されていました。先発3〜4番手、あるいは圧倒的な球威を活かしたセットアッパーとしての適性が議論されていたのが当時のリアルな評価です。
【異例の7年大型契約】生涯楽天を誓った背景と年俸推移に見る球団の覚悟
2019年7月、野球界に大きな衝撃が走りました。則本が楽天と7年間の超大型契約(推定総額20億円以上+出来高)を締結したことが発表されたのです。国内FA権を取得する直前のタイミングで、海外FA権取得を待たずに結ばれたこの契約は、事実上の「生涯楽天宣言」を意味していました。
則本の年俸推移を振り返ると、球団がいかに彼を特別視していたかが浮き彫りになります。
- ルーキーイヤー(2013年):1,200万円(新人王、開幕投手を務め球団初の日本一に貢献)
- エース君臨期(2016年〜2018年):1億5,000万円から2億5,000万円へと順調に増額
- 7年契約締結期(2019年〜):推定年俸3億円+出来高で固定され、チームトップクラスの待遇を維持
複数年契約の途中でメジャー挑戦を容認する特例条項(オプトアウト)は盛り込まれず、則本自身も楽天イーグルスに骨を埋める覚悟を固めました。球団側の「絶対にエースを手放さない」という誠意と、則本の「イーグルス愛」が完全に合致した瞬間でした。
【田中将大との絆と葛藤】海を渡った先輩と杜の都に残ったエースの道
則本昂大の野球人生を語る上で欠かせないのが、偉大な先輩・田中将大の存在です。2013年、ルーキーとして田中とともに戦い球団史上初の日本一を経験した則本は、田中がニューヨーク・ヤンキースへ移籍した直後から「ポスト田中」として先発陣の屋台骨を一人で背負い続けました。
海を渡りピンストライプのユニフォームで世界最高峰の舞台に挑む田中の背中を追いかけ、メジャーへの憧れを募らせた時期もありました。しかし、田中の不在を守り抜くエースとしての重責が、則本の中に「このチームを勝たせるのは自分だ」という強い責任感を育てていきます。
2021年に田中が日本球界へ復帰した際、則本は再び同じユニフォームを着て戦う喜びを口にしました。メジャーへ羽ばたいた田中と、チームを守り続けた則本。選択した道は異なれど、2人のエースの間には深い敬意と絆が通い合っています。
【守護神への電撃転向】松井裕樹のMLB移籍が生んだ「クローザー則本」の覚醒
則本のキャリアにおける第2の大きなターニングポイントは、2024年に訪れました。長年チームの絶対的守護神として君臨していた松井裕樹がサンディエゴ・パドレスへメジャー移籍を果たしたことです。
絶対的なクローザーを失ったチームの危機に対し、今江敏晃監督(当時)から直訴されたのが則本の抑え転向でした。先発通算100勝以上を積み上げてきた大エースにとって、リリーフ転向は大きなリスクを伴う賭けでもありました。
しかし、このクローザー転向が則本の投球に新たな命を吹き込みます。1イニング限定で全力を注ぎ込むスタイルにより、ストレートの平均球速が跳ね上がり、切れ味鋭いスライダーとフォークが完全復活。転向初年度からパ・リーグ最多セーブ投手(セーブ王)のタイトルを獲得し、見事に守護神の穴を埋めてみせました。
【則本昂大の現在】2026年シーズンに見せる円熟味と杜の都にもたらす希望
2026年の現在、則本昂大は楽天イーグルスになくてはならない精神的支柱であり、球界を代表する名クローザーとして確固たる地位を築いています。かつての力任せに三振を奪う投球から、打者の狙いを外す配球術と経験に裏打ちされたマウンド捌きを兼ね備えた「円熟のピッチング」へと進化を遂げました。
メジャーへ挑戦しなかったことに対する後悔の念は、現在の彼の表情からは一切感じられません。むしろ、杜の都のファンから毎試合受ける大歓声を背に受け、9回のマウンドに立ち続ける日々に誇りを持っています。
チームの世代交代が進むなか、若手投手陣に自身の経験を還元しながら、目指すのは「自らの手で掴み取る2度目の日本一」ただ一つ。則本が選んだ道は、日本球界の歴史に深く刻まれるレジェンドへの道となっています。
【則本昂大のメジャー挑戦】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:則本投手がメジャー挑戦しなかった最大の理由はなんですか?
A1:2019年に受けた右肘手術を機に自身のキャリアを見つめ直し、苦しい時期を支えてくれた楽天イーグルスで優勝したいという思いから、7年の大型契約を結んで生涯残留を決断したためです。
Q2:全盛期の則本投手に対するMLB球団の評価は高かったのですか?
A2:非常に高い評価を受けていました。特に5年連続最多奪三振を記録した直球の威力とフォークボールの切れ味はメジャー通用レベルとされ、先発ローテーション中位から強打者をねじ伏せるセットアッパー候補としてマークされていました。
Q3:今後、海外FA権を行使してメジャー挑戦する可能性はありますか?
A3:可能性は極めて低いと見られています。7年契約を結んだ時点で国内骨埋めの覚悟を固めており、現在はクローザーとしてチームの柱となっているため、楽天イーグルスで現役を全うする見通しが濃厚です。
まとめ:今後の展望と注目ポイント
則本昂大が下した「メジャー断念と楽天残留」という決断は、当時のファンに驚きを与えたものの、現在の活躍を見れば球団にとっても選手本人にとっても最良の選択だったと証明されています。先発としての輝かしい実績に加え、リリーフとしても球界トップの数字を残し続ける姿は、プロ野球選手のキャリアにおける一つの理想形です。
杜の都の誇りを胸に戦い続ける絶対的守護神が、これからどのような金字塔を打ち立てていくのか。2026年のペナントレースでも、9回のマウンドに立つ背番号14から目が離せません。 (出典: 則 本 昂 大 メジャー(Yahoo!ニュース))