小栗旬が率いるトライストーンの現在地!俳優社長が挑む芸能界改革
小栗 旬 事務 所を巡る力学が、いま劇的な変貌を遂げている。創業者の山本又一朗氏からバトンを受け継ぎ、小栗旬が代表取締役社長の座に就いてから月日が流れた。当初、業界の内外に漂っていた「看板俳優による名誉職に過ぎないのではないか」という懐疑的な視線は、すでに過去のものだ。現場の最前線で汗を流し、ときに泥をすすってきた表現者自らがトップに立つことで、長年硬直化していた組織に新たな血が巡り始めている。
メディア環境が急速にボーダーレス化していく激動の時代において、小栗 旬 事務 所の舵取りがこれほど注視されるのは決して偶然ではない。旧来の慣習に縛られがちな日本の芸能界において、現役プレイヤーが経営権を握ることの重み。それは、表現者としての純粋な欲求と、ビジネス組織としての冷徹なリアリズムをいかに調和させるかという、極めて野心的な試行錯誤の現場でもある。
小栗旬が社長を務めるトライストーンの現在地と新体制の全貌
名門プロダクション「トライストーン・エンタテイメント」の執務室には、これまでの芸能プロとは一線を画す空気が漂っている。役員会に並ぶ書類の横には、進行中の海外企画の脚本が積まれているという。小栗新体制が打ち出した最大の革新は、タレントを「事務所の所有物」として囲い込むのではなく、独立したクリエイターとして尊重し、そのキャリアに伴走するパートナーシップ型の組織構築だ。
現在、事務所内ではグローバル展開を見据えた制作支援チームの拡充や、クリエイター向けのエージェント機能の分社化など、従来の芸能プロの枠組みを超えた構造改革が進行している。所属俳優の労働環境改善やメンタルヘルスケアへの配慮など、自らが過密日程に苦しんだ経験を持つ小栗だからこそ着手できた制度設計も多い。守りのマネジメントから、攻めのプロデュースへ。この根本的な発想転換こそが、現在の新体制を貫く最大の推進力となっている。
山本又一朗から受け継いだDNAと「現場至上主義」の哲学
今日の躍進を語る上で欠かせないのが、創業者・山本又一朗氏の存在である。映画プロデューサーとして数々の伝説を残してきた山本氏は、単なるタレントの管理者ではなく、映画や演劇の企画をゼロから立ち上げる「現場の闘士」だった。その背中を見て育った小栗にとって、経営とはオフィスに座って数字を睨むことではなく、いかに質の高い作品を世に送り出すかというクリエイティブの延長線上にある。
「役者は作品によってのみ磨かれる」という山本の哲学は、小栗の血肉となっている。小栗が社長就任時に真っ先に掲げたのも、徹底した現場至上主義だった。事務所の都合による安易なタイアップや露出重視のキャスティングを排し、本人が真に挑むべき表現の場を勝ち取るために事務所のリソースを全投入する。創業者から継承された反骨精神とインディペンデント精神は、形を変えて今なお組織の土台を支えている。
田中圭・綾野剛・坂口健太郎――看板俳優陣が示す盤石の布陣
現在のトライストーンの強みは、何と言っても個性と実力を兼ね備えたトップランナーたちが、それぞれのフィールドで独自の存在感を放っている点にある。長年苦楽を共にしてきた田中圭は、圧倒的な親しみやすさと確かな演技力で映像・舞台を問わず屋台骨を支え続けている。その安定感は、若手や後輩たちにとって精神的な支柱とも言える。
一方、綾野剛は尖鋭的な表現を恐れず、作家性の強い映画や配信プラットフォームの意欲作で特異な輝きを放つ。さらに坂口健太郎は、国内での主演級のポジションに甘んじることなく、韓国をはじめとする東アジア市場へと軽やかに越境し、確固たる支持基盤を築き上げた。それぞれが異なるベクトルでキャリアを切り拓くこの布陣は、同質化を嫌う事務所の育成方針が結実した姿にほかならない。
Netflix連携と世界照準――日本映画の枠を超えたグローバル戦略
小栗が早くから見据えていたのは、ドメスティックな市場の限界だった。自身がハリウッド大作へ挑戦した際、言語の壁やシステムの違いによって痛感した悔しさは、現在の事務所戦略に色濃く反映されている。世界最大手ストリーミングサービスであるNetflixなどの外資系プラットフォームとの直接的なパイプ構築は、その最たる例だ。
日本映画の制作バジェットや旧態依然とした配給システムに縛られることなく、最初から世界配信を前提としたオリジナルコンテンツの共同開発に乗り出している。所属俳優が海外オーディションに挑戦する際のアシスタント体制や、現地の制作会社とのエージェント契約の締結など、グローバルスタンダードのインフラ整備が急速に進む。世界をターゲットに捉える視座は、もはや夢物語ではなく現実の事業計画として走っている。
『クローズZERO』から『大河ドラマ』へ、自らの背中で見せたトップの矜持
リーダーとしての小栗の求心力は、何よりも彼自身のキャリアの軌跡に裏打ちされている。2000年代、不良たちの群像劇を描いた映画『クローズZERO』で見せた圧倒的なカリスマ性は、同世代の俳優たちを牽引し、トライストーンという看板を全国区へと押し上げた象徴的な出来事だった。
そして年月を経て、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で見せた北条義時役の凄絶な名演。過酷な1年半の撮影を座長として完走し、共演者やスタッフをまとめ上げた経験は、彼を単なる主演俳優から「表現者たちのリーダー」へと完全に成熟させた。自らが最も過酷な現場で結果を出し続けてきたからこそ、所属タレントたちも彼の言葉に耳を傾け、経営者としての判断に全幅の信頼を置くのである。
関係者が明かす独占裏情報:芸能プロダクションの未来を拓く小栗の覚悟
ある大手映画配給会社の幹部は、小栗の経営スタイルについてこう耳打ちする。「彼は打ち合わせの席で、マネージャーの言葉を遮って自分自身の言葉でクリエイターと交渉する。利益率の話よりも先に『この脚本のラストシーンをどう撮るつもりなのか』と問い詰める経営者など、これまでの日本の芸能界には存在しなかった」。
さらに内部関係者によれば、小栗は現在、所属タレントの海外滞在費や語学学習費を事務所が大胆に先行投資する新ファンドの構想を温めているという。かつて多くの芸能プロダクションが利益の囲い込みに走る中、得た利益を俳優の表現力向上と未来のプロジェクトへ惜しみなく還元する仕組みだ。俳優による、俳優のためのギルド(組合)のような理想郷を、資本主義のルールの中でどう成立させるか。小栗旬が挑む静かなる革命は、日本のエンターテインメント業界全体の地平を塗り替えようとしている。 (出典: 小栗 旬 事務 所(Yahoo!ニュース))